40歳・引きこもり歴10年。そこに「家族」が来たらどうなる?
WOWOWドラマ『0.5の男』、Amazonプライムにあったからなんとなく見始めたんやけどな。
タイトルだけ聞いたときは「中途半端な男の話かな?」くらいの印象やった。でも見てみたら、全然ちゃう。これは「家族」と「社会」と「個」の境界線をグラグラ揺さぶってくる、めちゃリアルで、ちょっとしんどくて、でも温かいドラマやったわ。
主人公・立花雅治(松田龍平)は、40歳で引きこもり歴10年。実家の一室にこもって、ネットとカップ麺だけが友達みたいな生活してたんやけど、ある日突然、妹夫婦とその子どもたちが同居してくる。「2.5世帯住宅」っていう、なんともモヤっとした設定からしてすでに不穏(笑)
家の中に他人(=甥っ子姪っ子)がズカズカ入ってきて、静かやった世界がガラッと変わる。その変化にどう向き合うんか――っていう話なんやけど、これがまぁ、痛いほどリアルやねん。
こういうちょっとした変化で、劇的に日常が変わるわけではないんやけど、少しだけ、、自分でもわからんくらいほんの少しだけやけど前に進める作品がほんとに好きで、5話一気に見てしまったわ。

松田龍平が「微妙さ」を演じ切る。これぞ0.5の説得力
このドラマのキモは、松田龍平の芝居やと思うわ。感情を爆発させるわけでもない。泣き崩れるわけでもない。でも、目の動きとか、うっすら笑う口元とか、部屋の隅っこで縮こまる姿とか、全部に「この人、ほんまにしんどいんやろな」っていう説得力がある。
彼が0.5たるゆえんは、「社会に出てない=0」でもないし、「ちゃんと働いてる=1」でもない。そのあいだで揺れとる存在ってことやねん。だからこそ、甥っ子の蓮とのやりとりとか、ちょっとしたことで心が動く瞬間がすごく貴重に感じる。
ゲームの中でしか会話できへん。でも、それでええやんか
姪の恵麻(白鳥玉季)との関係がまた泣けるねん。最初はまったく会話もせんかった雅治が、オンラインゲーム内ではちょっとずつ心を開いてくねん。現実では目も合わさんのに、ゲームのアバター同士やったら自然に会話できるって、今っぽくてリアルやろ?
しかも恵麻も、ただ明るくて元気な子やない。家庭内での空気も察してるし、ほんまはしんどいのに気丈にふるまってる。それを雅治は画面越しに感じ取ってるっぽいところが、また切ないねん。
「大人」やからって言葉にできるとは限らん、「子ども」やからって分かってへんわけでもない。そんな曖昧さが、このドラマの醍醐味や。
西野七瀬演じる瞳の存在が、希望の温度を上げる
保育士・瞳(西野七瀬)は、社会との接点をほとんど失ってた雅治にとって、外の世界から差し込む唯一のやわらかい光みたいやった。彼女の存在がなかったら、雅治はきっともう一歩も動けへんかったやろうな。
決して恋愛ドラマではないんやけど、瞳の一言ひとことが、雅治に「生きててええんやで」と伝えてくれてるように感じたんよな。
それでも彼は、すぐには1にはなれへん。0.5のまま、足踏みしながら、それでもちょっとずつ前に進もうとする。そこがリアルで、そして尊いやんか。
「0.5のままでも、生きててええんや」と教えてくれるドラマ
最終回で印象的やったのは、雅治が自分から外に出ようとするラスト。めっちゃ劇的な展開があるわけちゃう。でも、たった数歩でも、彼にとっては大きな一歩。
それを見て、「ああ、人生って“1”にならんでもええんやな」って、ほんまに思わされた。
「できて当たり前」「自立して当然」ってプレッシャーが強い時代に、0.5のままでええ、今いる場所で踏ん張ってるだけでも、それは尊いって背中を押してくれるドラマやったわ。
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