【あなたを奪ったその日から】母性がすべてを壊す?”優しさ”に飲み込まれる女たち

『あなたを奪ったその日から』を見て、「ただの復讐劇じゃなかった…」と胸をえぐられたあなたへ。
本当に壊れたのは、怒りじゃなく、優しさだった。


作品紹介|ただの復讐劇じゃない『あなたを奪ったその日から』

一瞬で人生が壊れる瞬間って、ほんまにあるんやな。
『あなたを奪ったその日から』は、そんな”理不尽な絶望”から始まる物語や。

主演・北川景子が演じる紘海は、愛する娘を奪われた母親。
原因は、たったひとつの食品事故。
ありえへんミスひとつで、大切なものを全部、持っていかれた。

せやから彼女は決めた。
奪われたんやったら、こっちも奪い返すって。

復讐の対象は、娘の命を奪った惣菜店の社長。
その家族。
その幸せ。

ただそれだけの、シンプルな”報復”のはずやった。
――優しささえ、なければ。

このドラマは、
「復讐」なんかよりもっとタチの悪い、
優しさが人を壊していく話や。


本当の敵は「優しさ」だった?紘海の心の揺らぎ

誘拐は、たぶん一瞬で終わった。
バッグを掴むみたいに、萌子をさらって、それでおしまい。

…のはずやった。

でも、違った。
萌子は、笑った。
震えながら、それでも「ありがとう」って顔をした。
紘海は、息が詰まった。
――こいつ、悪くない。

復讐相手の娘に、そんな感情抱いてる時点で、もう負けてる。
敵の子どもやねんぞ?
憎むべき存在のはずやろ?

それでも萌子に絵本を読んで、
お弁当を作って、
抱きしめて。

紘海の中に、消したはずの”母性”がよみがえっていく。
まるで呪いみたいやった。

旭(大森南朋)もまた、思ってたよりずっと”普通の親”で。
許せないはずの相手に、人間の顔を見つけてしまったら終わりや。
復讐なんか、もう続けられへん。

ほんまに恐ろしいのは、「正しさ」とか「悪意」やなかった。
心のどこにも隠しきれない”優しさ”やった。


『あなたを奪ったその日から』が描く”優しさの罪”

普通は、優しいってええことやと思うやん?
でも、このドラマでは違う。

優しさは、人を殺す。
そして、復讐も殺す。

萌子に手を差し伸べた時点で、紘海はもう元の場所には戻られへん。
それは「母親」としての本能みたいなもんやった。
でもその本能は、復讐者としての自分をズタズタに破壊していく。

しかも、相手の旭もただのクズじゃない。
子どもを愛して、家族を守ろうと必死な普通の父親や。
それに気づいてしまったら、
「憎めない自分」を、また憎まなあかんくなる。

怒りたいのに、怒りきられへん。
復讐したいのに、できへん。
自分の中にある”優しさ”が、いちばん許せへん。

この物語でいちばん残酷なんは、
加害者やない。
被害者やない。
優しさを捨てきれへん紘海自身や。


まとめ|このドラマは”感情を壊しにくる”

『あなたを奪ったその日から』は、ただの復讐ドラマやない。
怒りだけで突っ走る話やったら、こんなに胸えぐられへん。

紘海は、正義も、怒りも、復讐も、
すべて”優しさ”に壊されていく。

「お前が優しくなければ、こんな苦しまんで済んだのに」
そんな皮肉を、画面の向こうから浴びせられてる気がする。

これから紘海は、
どれだけ自分を壊しながら生きていくんやろうな。
復讐なんかもうできひんって、本人もきっと気づいてる。
それでも、前に進まなあかん。

このドラマ、見てるこっちの感情まで壊しにくるから覚悟して見たほうがええで。

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